チケット売り場の前は行列ができていた。
私がそこへ並ぼうとすると、繋いだままの手がぐいっと引かれた。
「?」
並ばないの?という顔で俊くんを見上げると、彼は懐から何かを取り出して見せた。
「それ……」
「チケット。バイト先の店長にもらった」
まじか。すげえ。でも納得した。
「だから水族館行こうって言ったんだね……」
なんでいきなり水族館なのかは、ちょっと不思議に思ってたんだよね。
俊くんはちょっと不本意そうな顔で「俺、店長に気に入られてるみたいで」と言った。
「俺が入ってから女性客が増えたらしくて、そのお礼にってもらった」
「わあ……。すごいねえ。さすが俊くん」
こんな美形がウェイターしてたら、そりゃあ行きたくなるだろう。接客されたくなるだろうよ。
くそう。まだ私、行ったことないのに。
なんか気恥ずかしいというか、彼女ヅラして行っていいものなのかと迷ってたけど、絶対近いうち行ってやろうと思った。



