隣を見ると、バチっと目があった。嬉しくなって、思わずへらっと笑ってしまった。
「楽しみだねえ、水族館」
「………うん」
俊くんは目を細めて私を見た。
ときどき彼は、こんな目をする。眩しいものを見つめるような。大切なものを愛おしむような。
……これだけでも、彼の気持ちはわかるのに。
言葉が欲しい私は、やっぱり欲張りかなあ。
*
15分ほどバスに揺られたのち、水族館に到着した。
日曜の水族館は人が多い。
受付へ向かいながらすれ違うのは、子供から大人、カップルから家族連れまで様々だ。
「わー、水族館来るの超久しぶりだあ」
ここらの町じゃたぶんいちばん大きな水族館。
建てられたのは確か私が小学生のころで、すごい大きな水族館ができた!って当時は注目を集めていた。
今日の様子を見る限り、今もそこそこ人気を博しているようだ。
「佳菜はここ来たことあるの?」
「うん。できたばっかりの頃に家族と来たよ〜。でも小学生だったから、あんまり覚えてないなあ」
「俺も……小学校の遠足で来た気がするけど、ペンギンしか覚えてない」
「ふふ。ペンギンは覚えてるんだ」
「うん。ペンギンに餌あげたのだけ、なんかすげー覚えてる」
かわいい。小学生の俊くんとかどう考えても天使なのに、そこにペンギンなんかが加わったらもはや天国。ヘブンじゃん。



