彼氏の好きなヒトになる方法



隣を見ると、バチっと目があった。嬉しくなって、思わずへらっと笑ってしまった。



「楽しみだねえ、水族館」

「………うん」



俊くんは目を細めて私を見た。


ときどき彼は、こんな目をする。眩しいものを見つめるような。大切なものを愛おしむような。


……これだけでも、彼の気持ちはわかるのに。


言葉が欲しい私は、やっぱり欲張りかなあ。






15分ほどバスに揺られたのち、水族館に到着した。


日曜の水族館は人が多い。


受付へ向かいながらすれ違うのは、子供から大人、カップルから家族連れまで様々だ。



「わー、水族館来るの超久しぶりだあ」



ここらの町じゃたぶんいちばん大きな水族館。


建てられたのは確か私が小学生のころで、すごい大きな水族館ができた!って当時は注目を集めていた。


今日の様子を見る限り、今もそこそこ人気を博しているようだ。


「佳菜はここ来たことあるの?」

「うん。できたばっかりの頃に家族と来たよ〜。でも小学生だったから、あんまり覚えてないなあ」

「俺も……小学校の遠足で来た気がするけど、ペンギンしか覚えてない」

「ふふ。ペンギンは覚えてるんだ」

「うん。ペンギンに餌あげたのだけ、なんかすげー覚えてる」


かわいい。小学生の俊くんとかどう考えても天使なのに、そこにペンギンなんかが加わったらもはや天国。ヘブンじゃん。