「お……おはよ」
なんとか声を絞り出した。
隼は私の横に並ぶと、目を細めて、私の頭をぽんと撫でる。そのまま自分の席へと歩いて行った。
「………………」
くそ。なんであいつはあんなに余裕そうなんだ。
むずむずする気持ちを持て余しながら、席に着く。
すると、いつのまにか私の机の前の席に座っていたマナミが、頬杖をついて含みのある笑みを浮かべていた。
「ふふ」
「………なんだよ」
「なんだか面白いことになってるわね?」
心臓がばくんと大きな音を立てて跳ねた。
マナミの魅惑的な微笑みで見つめられると、動揺を隠しきれなくなる。魔性の女マナミこわい。
「……えっ、な、なにが」
「隠しても無駄。そうねえ。慰められたか、告られたか、……それ以上のことされちゃったか?」
キスされる寸前だったことを思い出し、嫌な汗が出てきた。なんだこの女。エスパーか。



