「そーやってお前を縛ったり、悩ませたりしない。お前らしく付き合える相手、いるよ」 「………いないよ………」 そんな都合の良いひと、いない。 付き合ったら相手を独占したくなるし、愛されたいし。楽しいことばっかりじゃないって、私はもう知ってる。 「いるよ。近くに」 その言葉に、私は床に向けていた視線を上げた。 隼が、私を見ていた。 「わかんねーの?佳菜」 彼がゆっくりと近づいてくる。私達の間に引かれたオレンジのラインを越え、彼は私の目の前に立った。 「俺にすればいいのにって言ってんだよ」