仲良くなれるなら誰にだって話しかけた。一緒にいて楽しくなれるんなら、男とか女とか気にしない。
でもそれは、彼氏がいなかった頃の自分だからできたことなんだって、ようやく気づいたんだ。
「呆れられちゃった。……アホだよねえ」
あはは、と笑って言うけど、隼はちっとも笑ってくれない。
いつのまにか真面目な顔をして、私をじっと見ている。
「今までみたいに楽しい楽しいばっかりじゃダメなんだよね。不安にさせて怒らせちゃった。彼女失格だよ」
俊くんの気持ち、考えてあげられなかった。
昨日、私と隼を見て、俊くんはどう思ったんだろう。
目が合ったときの、彼の傷ついた表情が忘れられない。
「彼氏ができたんだから、私もちゃんと自分のこと見直さなきゃいけないよね……」
せめて、彼が悩まないように。苛立ったりしないように。
ヤキモチ焼いてくれるのは嬉しいけど、私は瀬戸先輩みたいに上手くできない。
私は彼に怒った顔を向けられるのがあんまり得意じゃないみたいだ。



