「…………」
ここで話すのを渋っても、こいつはあとでまた同じことを聞いてくる気がする。
昨日は隼に事情を言うのはやめておこうと思っていたけど、『こんなことがあった』って言うくらいいいだろう。
まだ私は俊くんに言われたことを誰にも詳しく話していなかった。
自分の口で説明したら、昨日の出来事をまざまざと思い出して、泣きたくなるからだ。
だけどそろそろ、自分の中に抱え込んだままなのも辛くなってきた。
「んー……なんていうか、私、男友達けっこう多いじゃん」
「うん」
「で、その……俊くんから見ると、私は男友達との距離が近すぎるんだって」
距離感とか、あんまり考えたことなかった。
子供の頃から中学まで、男の子と遊んでばっかりだったし。
『カナちゃんって男の子みたいだね』って女の子に言われながら育ってきた。
そのうえ男の子は私のことを女の子として見てなかったから、まともな恋愛なんて中学までしたことない。



