「……あのさ」
「ん?」
「最近のお前を見てると、なんかイライラすんだけどさ」
「ああ?」
なんだなんだ。面と向かって悪口とはいい度胸だな。
「それがなんでかわかった」
「何なの」
「なんか、最近のお前は彼氏のこと気にして、らしくねーことばっかだからだわ」
私らしくない?
何それ。どういうこと、と聞こうとしたら、隼が「ハイできた」と言って髪から手を離した。
結び目に触れると、予想よりずっと綺麗に結ばれていて驚いた。
「え、上手いじゃん」
「だろ」
隼が得意げに笑う。お礼を言おうと振り返った瞬間、「佳菜!」と後ろから声をかけられた。
そっちを見ると、私のそばまで来ていた璃子が何やら焦った様子で、校門の方をそっと指差す。
その先を見て、目を見開いた。そこにいたのは……私の彼氏で。



