「良い彼女になるのって難しいよー……」
思わずそうこぼしたら、マナミが微笑ましい子どもを見るような目で私を見てニコリと笑った。くそう、この女はいつも勝者の余裕がある。
*
学校が終わって、昇降口を出た。
今日は晃たち一文字トリオを含めた6人で、駅前で遊ぼうという話になっている。
「雨止んでよかったあー」
午前の雨なんてなかったかのような青空を見上げて、璃子が言った。
「ねえねえ、結局今日どーすんの?何する?」
璃子が軽やかに地面の水たまりを避けながら、ぞろぞろ昇降口の階段を降りてくる私たちを振り返った。
「俺カラオケ行きたい」
「こないだ先輩たちと行ったじゃん〜。てか、カラオケは雨が続いてたら行くって話だったでしょ」
「あたし甘いもの食べたい気分」
「俺も」
晃、璃子、マナミ、学の順で話が進んでいく。



