先輩はそんな私と俊くんの様子を交互に見てから、ニヤッと笑った。
「ふーん。佳菜ちゃん、男友達多いもんなぁ」
「そう、ですね……。喋れなくなるのは、寂しいかな」
「こないだ一緒に遊びに行ったとき、男子ふたりいたよね?晃くんと、あと……」
「隼、ですね」
私の言葉に、下を向いていた俊くんの目線がスッと上がった。
「あーそうそう。それ。あの、ちょっと生意気そーな感じの奴。アイツとは特に仲良さそうに見えたけど」
「あはは……。アイツは入学してすぐのときからの付き合いなんで。話とかノリが合うんですよ」
「なるほどねー」
わざとらしく先輩が俊くんの方へ目線をやる。
その頃には、俊くんは下を向いて私のアイスラテを飲みながら携帯を見ていた。
「おい、話聞いてる?俊」
「聞いてる。佳菜の友達の話でしょ。一兄のニヤついた顔がウザいから視界に入れたくない」
「ひっど」
ふたりの会話を聞きながら……というより、携帯を見ている俊くんの顔を見て、心の中が小さくざわついた。



