俊くんはそんな私の一言にもムッとした顔をする。
それを見て思わず不安そうな顔をしてしまったのか、俊くんは私の顔を見てハッとすると、すぐに手を離した。
「……ごめん」
「う、ううん……。私こそ、ごめんね。その、色々と……」
「……………」
「……………」
沈黙……。
俊くんは苦々しい顔で下を向いている。それが私に対して怒っているのかなんなのか、感情がよくわからない。
ふたりとも黙っていても仕方がないので、私から切り出すことにした。
「……えっと。その……せ、先輩とは本当に話をしただけなんだ。ふたりきりになっちゃったのは確かにまずかったかもしれないけど、俊くんが気にするようなことは……」
「気にする」
「え?」
「自分の彼女が他の奴とふたりで出かけてたら気にするよ。しかも、相手は佳菜が好きだった一兄だし」
相変わらず視線を下に向けて、そんなことを言う俊くん。
これはどっちかというと……拗ねてる?
「佳菜の彼氏は俺じゃないの?」
というかこれは。
「……ヤキモチ?」
思わず口から言葉が出た。
私の言葉に、下を向いていた俊くんが目を見開いて、顔を上げる。



