ごめん、と謝ろうとしたら、遠くから凄まじい大声が聞こえてきた。
「イッちゃんのクソ馬鹿ーー!!」
クソ馬鹿!?
驚いて声がした方を見ると、公園の入り口に怒った顔の女の子が立っていた。
よく見ると、瀬戸先輩の彼女さんだ。
あのゆるふわ美少女と噂の彼女……が、『クソ馬鹿』って言ったの!?
「えっ、沙彩?」
先輩が驚いた顔をして彼女さんの方を見た。
彼女さんは般若のごとく怒った顔をして、ずんずんとこちらへ歩いて来る。
先輩は苦笑いしながら俊くんの方を見た。
「……俊〜、お前もしかして呼んだ?」
「呼んだよ。『一兄が人の彼女連れ回してる』って通報した」
つ、通報……。どういう関係ですか……。
ふたりの会話に唖然としていると、彼女……沙彩さんが、瀬戸先輩の目の前までたどり着いた。
沙彩さんは可愛らしいニッコリ顔で瀬戸先輩を見ている。目が笑ってない。怖い。



