「俺ね、佳菜ちゃんのこと結構気に入ってんの。だから誤解しないでほしいんだよね。できれば俊の彼女として、これからも仲良くして?」
「こうやって変なことしなきゃ仲良くしますよ!だから早く頭離してください!」
「あはは。やっぱいい子。……これが最後だからさ。許して?」
え……?
先輩の瞳が、強い視線で私をとらえる。彼の手が、そっと私の頬に添えられた。
そのまま、先輩の顔が近づいてきてーー……。
「一兄!!」
大きな声とともに、横からすごい力で身体を引っ張られた。
強制的に立たされて、声を出す余裕もないままに後ろから抱きとめられる。
振り返って、私を強い力で抱きしめる人の顔を見て……私は何も言えなくなった。
「……一兄、何してんの。意味わかんないだけど。人の彼女勝手に連れまわすのやめろよ」
俊くん、が。
息を切らした余裕のない顔で、先輩を睨んでいた。
なんで、俊くんが……。



