「でもさ。俺ね、ちょっと期待してんの。佳菜ちゃんに」
「……期待?」
「うん。俊の佳菜ちゃんを見る目、今までの女の子とはちょっと違うんだよね。あいつ、女の子といるときはいつもぎこちなかったんだけど、佳菜ちゃんといるときは自然体だったから」
そうなのか……。瀬戸先輩が言うなら、間違いないのかもしれない。
俊くんの学校での様子を知らないので、実感わかないけど。
私といるときは『楽しい』って言ってくれてたもんな。
「だから、今まで散々色々ちょっかいかけてきたけど……真面目な話、佳菜ちゃんが俊を変えてくれるんじゃないかなって思ってる」
「……私が?」
変えるって……俊くんを?
目を瞬かせて先輩を見ると、彼はにっこりと笑って言った。
「そ。『ひとりの女の子を全力で幸せにする俊』にね」
私が目を見開くと同時に、先輩は携帯を取り出した。
そして、携帯を頭上に掲げると、私に「ちょっとこっち寄って」と言った。



