「あいつは、過去付き合ってきた女の子みんなにフラれてる。本人は『自分がつまんないから』だって思ってるけど……相手には伝わっちゃってたんだろうな。俊が本当の意味で自分を彼女として見てないって」
いいひとだから、付き合ってきた女の子にも私と同じように優しくしてたんだろう。
気遣って、慎重に、相手が退屈しないように。
でもわかるんだよ。
俊くんが、私のこと好きじゃないって。
「……そうですね。不安になるときは……正直ちょっと、あります」
「うんうん。仕方ないよ、それは。佳菜ちゃん悪くないからね」
「…………」
またぽんぽんと頭を撫でてくれる。
なんだか調子狂うな……。いきなりイイ先輩にならないで欲しい。惚れはしないけどちょっと戸惑う。
なんとも言えない複雑な気持ちになっていると、先輩がふいに撫でる手を止めた。
そして、目を細めて私を見た。
……あ、あのときの優しい笑みだ。



