なんだか最近、地味にショックなことが多い。
「……ね。佳菜ちゃん、クレープ食べない?」
「……へ?」
うつむいて涙を必死にこらえていたら、唐突に言われて顔を上げた。
クレープ?
「近くにさ、美味しいクレープ屋ができたんだよ。知らない?」
「知らないです……」
「じゃあ行こーよ」
先輩は心なしか、さっきより優しい笑顔をしていた。
*
先輩にクレープを奢ってもらって、近くの公園で食べることになった。
いつものあの公園である。私にとっては色々と思い出深すぎる公園だ。
公園に着くまでの間、唇を引きむすんで歩いた。
そんな私に対して、先輩は特に何も言わずに優しい顔をしていた。
公園のベンチに座ってクレープを一口かじると、なんでか涙がボロボロ出てきた。
私、こんなにすぐ泣く奴じゃなかったはずなのに。
慌ててゴシゴシ涙を拭って、クレープを頬張った。
「クレープ美味しいねー」
「……そーですね」
なんでこんなところで先輩と一緒にクレープ食べてるんだろう。
冷静な頭でそう思ったけど、涙のせいか全部がどうでもよくなりかけていた。



