彼氏の好きなヒトになる方法




なんだか最近、地味にショックなことが多い。



「……ね。佳菜ちゃん、クレープ食べない?」

「……へ?」


うつむいて涙を必死にこらえていたら、唐突に言われて顔を上げた。


クレープ?


「近くにさ、美味しいクレープ屋ができたんだよ。知らない?」

「知らないです……」

「じゃあ行こーよ」


先輩は心なしか、さっきより優しい笑顔をしていた。







先輩にクレープを奢ってもらって、近くの公園で食べることになった。


いつものあの公園である。私にとっては色々と思い出深すぎる公園だ。


公園に着くまでの間、唇を引きむすんで歩いた。


そんな私に対して、先輩は特に何も言わずに優しい顔をしていた。



公園のベンチに座ってクレープを一口かじると、なんでか涙がボロボロ出てきた。


私、こんなにすぐ泣く奴じゃなかったはずなのに。


慌ててゴシゴシ涙を拭って、クレープを頬張った。


「クレープ美味しいねー」

「……そーですね」


なんでこんなところで先輩と一緒にクレープ食べてるんだろう。


冷静な頭でそう思ったけど、涙のせいか全部がどうでもよくなりかけていた。