俊くんと歩いてる時も同じ現象が起こるから慣れっこだけどさ……。
付き合ってるわけでも、もはやもう好きでもない人のおかげで女性から無差別に敵意の視線を向けられるのは、なんかすごく嫌だよ。
本当に、なんでこんなことになっちゃったんだ……。
「佳菜ちゃんはさあ、普段俊と何して遊ぶの?」
「んー、放課後一緒に帰って、途中でお店寄ったり……ですかね」
先輩は機嫌良さそうにこういうことを聞いてくる。
私と俊くんのことを聞きたいから私と話しているのか、話すことがないから俊くんという共通の話題を持ち出してくるのか……。
先輩の真意が全くわからない。どこで爆弾をぶっこまれるかわからないので、油断は禁物だ。
「へー。どういうとこ行くの?」
「お腹すいてたら近くのファストフードとか……本屋とか、CDショップとか……?」
「ふーん。つまんなくない?」
「え?」
「俊といて。つまんなくない?」
さらりと尋ねられて、驚いた。
「つまんなくないですよ」
でも次の瞬間には、彼の目をまっすぐ見つめてそう答えていた。



