「誰だろ……」
そっちへ歩いて行って、見えた姿に私は目を見開いた。
廊下の壁に背をもたれて、意味深に微笑みながらこっちを見ているイケメン。
瀬戸先輩!?
「せっ、せせせせ先輩、なんで」
昨日の今日でキョドッて、思わず勢いよく後ずさる。すぐ後ろがドアだったから行き止まりだった。
私の様子を見て、可笑しそうに先輩が笑う。
「そんなに怖がんないでよー。昨日のことは俺も悪かったと思ってるからさあ」
「……はあ」
「ごめんね?俊があんなに躊躇いなく『付き合ってる』って言うの初めてだったからさ、ちょっとちょっかいかけたくなっちゃったんだよね」
俊くんが言ってた通りだ。先輩は俊くんをからかいたかったんだな。
できれば私を巻き込まないで欲しかったけど……。



