そのくらい余裕があるってこと?私が今さら先輩のこと好きにならないって?
いや、事実そうだけどさ。たぶんもう天地がひっくり返っても先輩のことは好きにならないけどさ。
それにしても……あんなにアッサリ『仲良くしてあげて』なんて言っちゃうだなって。
思っちゃった……よね。
『本当にお前のこと好きなの?』
彼女以上好きなヒト未満。
ああ、我ながら的確な言葉だな……とぼんやり思った。
*
その日の夜はなんだか眠れなかった。
俊くんは彼氏っぽくないけど、人間として俊くんのことはすごく好き。
『たぶん好き』の状態で付き合ってくれるだけ、喜ぶべきなのかも。
「おーい佳菜、息してる?」
次の日、学校に着いてからもボーッとしていると、目の前で璃子が手を横に振った。



