「……そーいえばさあ」
その目はいつも明るく光を含んでいた彼の瞳とは違って、どこか相手を射抜かんとする鋭さがあった。
彼をいつも見ていた私だからわかる、一瞬の違い。だからこそ嫌な予感がした。
「佳菜ちゃん、この前まで俺のこと好きだったよね?」
さらりと言われたその言葉に、全身が凍った。
ーーえ。うそ。なんで。
思考が停止して、返事をすることができない。
先輩は真意の読み取れない笑みで、言葉を続けた。
「1年ぐらい前?から、なんかいつも遠くから見てくる子がいるなーと思ってたんだよね。でも最近はパッタリなくなったからさあ、どうしたんだろうと思ってたんだけど。彼氏できてたんだねー」
あんなに好きだった先輩の笑顔が、今は悪魔の笑みに見えた。



