「……そ、そうだったんだ〜……」
アハハびっくり〜と、乾いた笑いしか出てこない。
好きなひとと好きだったひとがいとこだったと聞いて、喜ぶ人はそういないだろう。
ましてや好きなひとが現彼氏となると、もう本当に笑えない。
瀬戸先輩と私が知り合いじゃないというのがせめてもの救いだ。
先輩はかつて私が一目惚れしたキラキラ笑顔で、私と俊くんを見つめている。
今日もカッコいいですね先輩。でもできればこんな形であなたと初対面したくなかったです。
私が必死にニコニコしていると、瀬戸先輩の周りで私たちを見ていた他の先輩たちが、物珍しそうに話しかけてきた。
「えー、この子瀬戸のいとこなん?すげー顔キレイじゃん」
「瀬戸よりイケメンなんじゃね」
無遠慮にじろじろと俊くんの顔を見ている先輩たち。
俊くんは慣れているのか、表情ひとつ動かしていない。
この場で唯一顔面偏差値平均の私は、他人事のようにイケメンだらけのやべえ空間だなと思っていた。
だから完全に空気になろうと思っていたのに、ひとりの先輩によって突然会話に入れられた。



