らしくなく視線を下に彷徨わせて、不意にちらりと彼を見ると、すごく自然に、ふわりと微笑まれた。
「!」
ドキッとして、口をパクパクさせる。
気のせいかってくらい一瞬だったけど、たぶんそう。絶対そう。今、私を見つめて笑った。
「……………え、っと」
頭の中が俊くんでいっぱいになって、声が出なかった。そんな私を、彼は不思議そうに見つめてくる。
……ああ、なんか、あんまり認めたくないけど。
私、俊くんに振り回されてる。
私ばっかり、好きになってく。
*
本屋を出て、街の大通りに出た。
少しの間様子のおかしかった私だけど、なんとか落ち着きを取り戻した。



