「………………」
お決まりの熟考タイム。その間、私はそのお顔を存分に堪能できることに最近気が付いた。
目の保養だ。減るもんじゃないし、美形は見れるときに見ておくべきである。
しばしお互いに見つめ合う時間が続いた。やがて、俊くんが「……佳菜は」と言った。
「面白いね」
長い沈黙の後だったので何を言われるのだろうと思っていたら、思いのほか短い言葉が返ってきた。
「……え、そうかな」
私は他のものや人に『面白い』と言うことはあるけど、自分自身がそう言われたことはなかった。
「うん。変わってる」
「初めて言われたよ」
「俺も他人に初めて言った」
「…………」
あまりにあっけらかんと言うので、思わず言葉を無くしてしまった。
……俊くんが初めて『面白い』って思ったのが、私ってこと?



