本棚ひとつだけでも何十冊と本が入っていて、それぞれタイトルも作者名も違う。
そんな本棚がこの本屋にはたくさんあって…本ひとつひとつが俊くんの言うような『世界』とか『考え方』だとすると、確かにちょっと怖い。
高くそびえ立つ本棚から、膨大な量の『人』の気配を感じて、威圧感があるんだ。
「……ごめん。変な話して」
俊くんの言葉に勝手に納得していると、彼が気まずそうな顔して謝ってきた。
「え?別にいいよ。なんで謝るの」
「こういう話すると、友達に『暗い』ってよく言われるから」
「えー?私はそんな発想できないから、素直に『確かに』って思っちゃったよ。俊くんてやっぱり面白いね」
彼は拍子抜けしたような顔でぽかんと私を見た。
そして眉を寄せて「何が面白いのかわかんないんだけど」と言われた。パッと見てわかるくらい不満そうな顔だ。珍しい。
私はアハハと笑って、「だってさ」と付け足した。



