彼氏の好きなヒトになる方法




「そうだったんだ……。私もね、漫画とか小説好きなんだあ」

「俺、あんまり漫画読まないかも」

「そうなの?じゃあ、男子でも読めそうなの今度持ってくるね。面白いのいっぱいあるから」


ね、と笑って言うと、俊くんは心なしか嬉しそうに「ありがと」と頷いた。


そして、また俊くんの目は本棚へ向いた。なんとなく私も同じように本棚を見上げる。


私の身長の2倍ありそうな棚には、本がぎっしりと詰まってる。



「……本ってさ、すげー数、あるよね」



ふいに俊くんが言った。


彼を見ると、変わらずまっすぐな目で本棚を見上げていたから、私もまた視線を戻した。


「……そうだね」

「これ、ほとんど全部作者が違うって考えたら、途方もなく感じる」

「……というと?」

「本と同じ数だけ作者がいて、世界とか考え方がある。デカすぎて押しつぶされそう」

「…………」


俊くんの言葉を頭の中で反芻して、本棚を見つめた。