……あれ?でも私、俊くんに好きって言ったよな?
このくらい言っても良くね?余計だったかもしれないけど、おかしなことは言ってないよね。
つーか私ら、一応付き合ってるわけで。
今の、カップルの会話なら気まずくなる必要ある……?
こんなので変な空気になるって、どうなんだ。
やっぱり私たちの関係って、名前だけ『彼氏彼女』なだけで、実際はちょっと仲良い友達くらいのところで止まってるんじゃ?
『そいつ、本当にお前のこと好きなの?』
嫌な可能性を再認識して、ちょっと絶望した。マジか。
悶々と考えながらお互い無言で歩いていると、いつのまにか本屋に着いていた。
「ええっと……私、ちょっと買ってくるね。適当にその辺見てて!」
「え、佳菜……」
彼の返事を待たずに、その場を離れた。
私らしくない。でも、ちょっと今は落ち着きたいんだ。心の中で「ごめん!」と謝りながら、コミックの棚がある二階へ駆け上がった。



