ちょっと機嫌のいい私を見て、俊くんが不思議そうに首を傾げた。
「……今日、何か嬉しそうだね」
「えっ!?あ、あー、そう、かなあ?」
「いいことあった?」
「と、特に何もないよ。うーんと、しゅ、俊くんと歩けて気分上がってるのかも」
照れ笑いながら言うと、俊くんは不意をつかれた顔をして黙った。
「……………」
「……………」
うわー!まさかの沈黙!しにたい!
調子に乗りすぎましたごめんなさい!
「……な、なんて!ね!あはは!嬉しいのは本当だけどね!ごめんね本屋行こ!!」
「……か、佳菜」
「ん!?」
慌てて弁解して、にっこり笑顔で彼を見る。俊くんは何か言いたそうな顔をしていたけど、言葉にならなかったのか「なんでもない…」と言った。なんなんだーい。
何故か気まずい空気になりながら、2人で街を歩く。原因は絶対私の余計な一言だ。



