「あはは。なんだあ、もお。じゃあ別れる必要なくない?私たち……」


言い終わるか終わらないかくらいのところで、ふいに俊くんの手が私の頬へ伸びてきた。


驚いて、思わず固まる。俊くんの手は、ゆっくりと私の目元の涙を拭った。

その手つきは、とても優しい。


彼の茶色混じりの綺麗な瞳に、私が映っていた。



「……泣かせてごめん。……ほんと色々、ごめん」

「……お互い様だよ。こちらこそ、さっきは怒って色々言っちゃってごめんね」



俊くんがやっぱり申し訳なさそうな顔で私を見つめる。

あんまりまっすぐ見つめてくるので、なんだかちょっとドキドキした。



「ね、今からどうしよっか?」



照れをごまかすために笑いかけると、俊くんは予想外のことを聞かれたという顔をした。そして迷うように目線を下にする。