「えっ」
「ホラ。校門のとこ」
一年間の習慣も舐めたものじゃない。瀬戸先輩と言われると、思わずそちらを向いてしまうのだ。
窓の外を見ると、校門から校舎の方へ慌てたように走っていく男女の2人組が見えた。
「『やーん、遅刻しちゃーう、急ご急ごーっ』ってカンジ?」
璃子が横ではやしたてる。
先輩と例のふんわり系彼女だ。楽しそうに笑いながら校舎へ走ってくる彼らの姿は、さながら青春漫画のワンシーンのようだった。
「あれ瀬戸先輩じゃん」
「噂の美少女と一緒だな」
「うっわ、佳菜、勝ち目ねー」
近くから大変失礼な会話が聞こえてきた。
私たちの横で、同じように窓の外を眺めている野郎3人組。よく私たちが一緒に遊んでいるメンバーだ。
最初のセリフから順に隼(ハヤト)、学(マナブ)、晃(アキラ)。漢字一文字トリオである。
顔もそこそこいいし、とりあえず雰囲気が格好いいらしい(私の好みではない)ので、3人ともよく目立つ。



