「佳菜が俺の横で楽しそうにしてくれてるの見るのも、嬉しい。『付き合って』って言ったのも、女の子と一緒にいて楽しいって思ったの、初めてだったから」
ゆっくり、ゆっくり紡がれる言葉を、私は必死に記憶に残そうとした。
「佳菜が俺のこと楽しませてくれるように、佳菜も俺といて楽しいって思ってほしい。俺は中身こんなんだし、そのうち飽きられるかもしんないけど、頑張りたい」
……でも、聞けば聞くほど胸が苦しいし、涙が出てくる。
「だからできたらこれからも、佳菜とはこうやって出かけたり話したりしたい。……だから……」
俊くんの言葉は、そこで一度途切れた。そしてまた考え込み始める。
『だから』のあとを何て言おうか、必死に考えてるみたいだ。
もう一度待とうかと思ったけど、そんな彼の姿を見て、ちょっと笑ってしまった。
ごめんね、今はなんだかちょっと、待ちきれないや。だって今にも涙が出そう。
ねえ、俊くん。つまりさ。
「それって、私が好きってことじゃないの?」
涙声で言うと、俊くんは目を見開いて私を見た。



