「最低な理由で佳菜と付き合ってたってことも知られたし、今日はとにかく謝りたくて来た。別に許してもらおうってわけじゃなくて…さすがに俺のこと嫌いになっただろうから、フラれても仕方ないって思ってたんだけど」
予想外なことに、私が『好きだから別れたくない』とか言ってきたから、驚いて追いかけてきた、ってことか。
気まずそうな顔をして下を向く俊くんを見ていると、なぜかだんだんと心が落ち着いてくる。
同時に、今まで神級のイケメンだなんだって、まるで芸能人と付き合ってるみたいな感覚で俊くんと向き合ってたことを後悔した。
この人は、私と同じ普通の高校生の男の子だ。
恋愛経験が豊富なわけでも、女の子を選び放題の遊び人でもない。
今日『俺のこと、嫌になった?』って、やけに不安そうな顔で言ってきたのも。
私と一緒にいるとき、ときどき申し訳なさそうな顔をしてたのも、今の話を聞いて納得した。



