「……佳菜!」
後ろから、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
えっ、と思い振り返ると、遠くに見えたのはこちらへ走ってくる俊くんの姿だった。
……えっ、なんで。
この前は追いかけてこなかったのに!なんで今日は追いかけてくんの!?
パニックになって、また全力で逃げた。
だけどしばらくの間、俊くんは追いかけてきて、そろそろ私の息が切れてきた頃。
「………止まれって、佳菜!!」
語気の強い声が聞こえてきて、思わずピタッと立ち止まった。
い、今の俊くん!?
びっくりして振り返ると、こっちへ小走りで向かってくる俊くんが見えた。
私の前で立ち止まると、はあはあと息を整える。
「……ごめん。強い言い方して」
「う、ううん……ちょっとびっくりしただけ。……でもなんで、追いかけてきたの」
私、また連絡してって言ったのに。



