「……いや、俺の方こそ、ごめん。変な話、聞かせて……傷つけて、ごめん」
俊くんはいつもよりさらに申し訳なさそうな顔で謝ってきた。
……でも、この『ごめん』を私はどう受けとればいいの?
彼が考えていることがわからなくて、何も言えないでいると、俊くんが言いにくそうに口を開いた。
「……俺のこと、嫌に、なった?」
……え?
「……………」
「……………」
すぐに、彼の言葉の意味を理解することができなかった。
え?
今、俊くん、私の気持ちを聞いてるの?
てっきり、昨日の『女避け』の話をされるかと思ってたのに。
あの話について、『ごめん』以上何も言わないってことは、やっぱり昨日の話は本当だったんだ。
……あっさり認めちゃうんだね。
俊くんはいつも通り、あまり感情の読み取れない表情をしている。
だけど、いつも私をまっすぐに見つめてくれる大きな瞳が下の方を見ていて、らしくないなあと思った。



