紗綾ちゃんの部屋は、ピンク色で統一されていて、レースのついたベットには大きなクマのぬいぐるみが置いてある。
壁にはアイドルのポスターがあって まさに女の子の部屋って感じ。
そんな可愛い部屋の中で、私達は暗い面持ちで しばらく沈黙していた。

「……ねぇ。紗綾。アンタ今日どうしたのよ。」

最初に口を開いたのは 桃音ちゃん。

「……昨日ね。」

さっきまで下を向いていた紗綾ちゃんは ゆっくりと顔を上げて言う。

「……紀が屋上から落ちたでしょ?そん時。私、目が合っちゃったのよ。紀と。」

顔を徐々に青く染める紗綾ちゃん。
とても嘘をついてるような顔じゃない。

「……それで、何があったわけ?」

いつも笑ってふざけてる桃音ちゃんが、真剣に紗綾ちゃんに問いかける。

「……その時はただ、不気味だとしか思わなかったわ。でも、その日の夜……」