「──だから、どんなコトでもちゃんと『3年』続ける。いい?」

「…うん、分かった」





今思い出すとかなりウザめのドヤ顔を、私はしていたはずなんだけど。




界人は私のまっことくだらない説教を、なぜだか随分まじめに聞いていて。





「頑張ってみる、俺」





と、力強くコクンと頷いたのだった。





その姿を見て気をよくした当時のバカな私は、





「ヨシ。がんばんなさい」





などとお姉さんぶって、界人の胸をグーでポコン!と叩いた。





「わわっ…」




そうしたら界人のヤツは、その勢いで後ろによろめいて。





「わあっ…!」





ソメイヨシノの木の根っこに足を引っ掛けて、そのまま真後ろの石段をもの凄い勢いで転げ落ちていった。






「は!?か、界人っ!?」







慌てて石段を駆け下りていくと、砂利と葉っぱに埋もれた界人が仰向けで目を回していて。






「大丈夫!?」






と、私が大声で生存確認をすると、界人はひどく弱々しい声で、






「やっぱし、美和はすごいなぁ…」






と、意味不明なことを呟いて。






「バカ!」







と、私はなぜか勢いに任せて界人の頭をぶっ叩いた。