全ては、高校1年の夏に始まった。


「暑い。由華ぁーーー。自販機のジュース買ってきてよ。」

「はい、同じく。紗奈は苺みるくでよろしく。」


下敷きを団扇代わりにパタパタ仰ぐ親友の麻有と

気温に耐えられなくて

お昼ごはんを食べる気力をなくした紗奈は

今にも溶けそうな顔でお願いしてくる。


「却下。私も動けない。」

ストレートに断って、卵焼きを頬張る。

今日のお昼ごはんは、気合たっぷりで色鮮やか。


今日、こんなにぐったりしている理由は

暑いだけじゃない。

「あーぁ。遠足楽しみすぎて昨日寝れなかったのになー。天気予報ハズレだねー。」

麻有に言われて、私は外に視線をうつした。

天気は雨。昨日まで、雨降る様子もなかったのに。


3人でお揃いの髪型にしよう!

お弁当は女子力をフル活用した物にしよう!

写真いっぱい撮ろう!

昨日、はしゃいでた私達に伝えたい。


明日は、雨だよ。って。



お昼休みはだいたい教室でガールズトークとやらを
しているけど、今日は別。

蒸し暑い日に熱い話なんて絶対むりっ!


「………。」

ぐったりした3人の中に沈黙が流れる。


なにかいい話題ないかな。なんて考えていると


紗奈が沈黙をやぶった。


「…やるしかない、よね。」

……??

「そだね。結局誰か犠牲にならないとみんなが
助からないもん。」

麻有も続けていう。

なんのことかサッパリ分からない私は

キョトンと2人を見ていた。

目がガチなやつだ。


「由華!由華も覚悟決めて拳を出して。」


麻有の言葉で今からすることを理解した。

断る時間も与えず、2人は声を出した。


「「せーのっっっ!最初はグー、ジャンケンポン!!!」」


パーの麻有、紗奈に対し、グーの由華。


完全敗北の私は、肩を落とした。