俺は抹茶がお気に入りだった。

『抹茶はカフェインが強いから、モッツさんみたいにコーヒー好きな人は結構ハマるんですよ。』

彼女はそう教えてくれた。
またある時は、

『たまには中国茶飲んで見ましょうよ』

と、彼女も強引だ。

『このガラスのポットの中で花を咲かすんですよ、見ててね、こうやって、良い香りが…』

俺はお茶よりも、
目の前に乗り出してポットに湯を注ぐ彼女の髪の匂いを嗅いで、胸の中の蕾(つぼみ)がゆったり開いていく気分になった。