「ミリアッ!アテナッ!どこにいるんだ!」
私は、迷子になった子供の様に妹と姉を探した。
「…サリシア、お母様は無事だろうか……。ううん。今はそっちの心配より地球へ逃げてきた私とミリア、アテナ姉さんを探す事だ。きっと皆も探している事だ。ミリアはああ見えて泣き虫だ。泣いてないだろうか……」
私の中には心配という文字が浮かび上がった。
「……ん?」
顔に一滴の雫が落ちてきた。そして、私は空を見た。
「雨…か……。ミリアが泣いているのだろうか……。」
ポツポツと降り出した雨もザーザー音を立て出した。
私は元も子も無いと思い近くの木に寄り添った。
「能力……頼るほかないのだろうか」
月に住む者は皆、能力を持って産まれる。私の能力は『過去・未来を読む』『心の声を聞く』力。この先皆と合流する事が出来るのかを確認は出来る。だが、合流出来ず誰か一人でも死んだ再開となっていても嫌で能力を使わずにいた。
その力は、発動したいと思うだけで発動する。いつしか制御できるようになっていたらしい。
そのかわり、もう一つの能力。心の声を聞く力は左目をずっと隠していなければ発動しないのである。
幼い頃は制御も機能しないやり方もわからずにいて困っていた。
夕食の内容を聞こうと思って聞きに行っても心の声でわかってしまう。雇っていたメイドの裏の心がわかってしまってそのメイドを避けていたりと大変だった。
そして、能力を抑えることに繋がる出来事が起きた。
それは、左目を怪我した時であった。人の世に伝わる眼帯を付けて生活を数日送った。その数日間は誰の心の声も聞こえなかった。いつも家族が多いせいか声が鳴り止まなかったのに数日間はまるで心を無くしたかのように静かだった。
そして、私は気づいた。
『左目を隠せばいい』と。
それからの事眼帯を変え今の形になった。
眼帯を外せば心の声が聞こえて黒髪の少女がとか綺麗な美人の赤髪の女の人がとか聞こえるかもしれない。
未来を見れば、会うか会わないかはっきりとわかる。
でも、やはり使えない。
「使う事に悩み続けても何も始まらない。だが……。使わなければその分見つける事に時間がかかってしまう。……どうすればいいのだろう」
と、しばらく降り続いている雨を眺めながら考えた。
「……そういえば」
と、思い出したのはアテナに言われた事だった。