半径100kmとは長いものだ。今自分が半径100kmのどこにいるかわからない。能力を使いたいが使う分体力の消費が多くなる為使えない。歩いても歩いてもずっと森の中。本当に進んでいるのかもわからない。
「ミリア…お前は何処に……」
久しい程の飢えに倒れた。倒れてもなお私は進む。服が汚れようと濡れようとも家族が…ミリアが見つかるまで這ってでも探す。
「ミリア……何処………に」
私も限界だ。数ヶ月以上もの間空腹状態に半分なりながら一日中歩くという生活。私はそれに慣れたと思っていたが体は慣れていなかった。
「あんた…大丈夫か?…っ!……お前、ミリアに会わせてやる。とりあえずミリアの所まで行くぞ…立てるか?」
「ミリアの事を…知っているのか………」
「ああ。俺も含みお前もミリアも月人だと言うことも。」
「…っ。お前…も?」
「あいつにはまだ言っていないが…消えた父親は俺だ。こんなガキの顔で父だと言えるか…」
「早くに不老が来たのだな…」
「ああ。俺の能力は…人の持つ能力を見極める能力。月人だと言うことも、人間の持つ能力までも全ての能力を知る事が出来る。」
「回りに人…は?」
「いない。ここから1kmは歩くが大丈夫か?」
「飛ぶから心配しなくていい。」
「そうか…」
「お前が私らの父だとして、ミリアには言わないのか?」
「ガキじゃねぇ姿になりゃあ言うさ」
父は苦笑いを見せた。
「私は興味が無くて父の話は聞いたことが無い」
「アイト。本来、アイトルラス・ルーンだが、今はアイトレン・ジュカイント」
「そうか。名を隠す必要があったのか?」
「俺は月を降りた。本来はやっては行けない行為。下手すりゃ死刑かな…だから名前を変え、あいつらの嫌いな人間と混じえてる」
「人と一緒に居れば安全だ…という事か?」
「安全とまでは言わない。ただ、生きていたい。死刑というものは俺らルーンの血には無い。死刑じゃなくなるとすれば…更なる上…何回も死なせる様な拷問しか待っていないだろう」
「私達も月から降りた。とある事件でな…」
「事件だと?」
「ああ。私達の城に愚民どもが来たんだ。そして私達の城を取られた。私達には居場所がない…だから、鏡の間から来た…だが、鏡もあちらの手に渡ってしまい家族がバラバラに…。地球にいるのが私とミリア、姉のアテナしか分からん」
「そんな事が…」
「起きてしまった事をとやかく言っている暇はない。とりあえずミリアを…」
「強いな…イリアは」
「姉である私が弱くてどうする…ミリアを守るのが私…姉の仕事だ。…アテナはサリシアを守っていたからな」
「誰に似たのやら…」