「絹はさ…」
暫くして体勢を前屈みにしたまま、甲ちゃんが口を開く。
「え?」
「絹は何で俺が日本に帰ってきたか知ってる?」
それは… あれ? 何でだっけ?
「命の恩人に姫を託されたから。だからその役割さえ終われば、いつでも仕事は辞めるつもりだった…」
「そんな…!」
初めて聞く甲ちゃんの本音に思わず動揺してしまう。
「だったんだよ、予定では!あの手紙さえなければ今頃、愉快なジャパニーズライフだったのにな」
そう苦笑いする彼が見覚えのある手紙をあたしに差し出す。
恐る恐る手紙を開くと、アルファベットがぎっしり敷き詰められた便箋と航空券が入っていた。
「…ごめん、読めない」
英語は数学の次に苦手。
「難しいケースの患者さんがいるから帰って来るようにってさ。航空券も送りつけてきて勝手なもんだよな」
それって… つまり…
「じゃあ、まだお医者さん辞めないよね?!
日本にもまた帰って来るよね?」
「うん、まだ貴から借りたゲームもクリアしてないし」
「何それ」
傷を抱えて一人悩む甲ちゃんも、的外れなことを言う甲ちゃんもどちら同じ甲ちゃんで
だけど、その大半が後者… かもしれない。
「俺がいなくても、少しの間待っててくれる?」
でも、笑っていてくれれば どちらでもいい。
暫くして体勢を前屈みにしたまま、甲ちゃんが口を開く。
「え?」
「絹は何で俺が日本に帰ってきたか知ってる?」
それは… あれ? 何でだっけ?
「命の恩人に姫を託されたから。だからその役割さえ終われば、いつでも仕事は辞めるつもりだった…」
「そんな…!」
初めて聞く甲ちゃんの本音に思わず動揺してしまう。
「だったんだよ、予定では!あの手紙さえなければ今頃、愉快なジャパニーズライフだったのにな」
そう苦笑いする彼が見覚えのある手紙をあたしに差し出す。
恐る恐る手紙を開くと、アルファベットがぎっしり敷き詰められた便箋と航空券が入っていた。
「…ごめん、読めない」
英語は数学の次に苦手。
「難しいケースの患者さんがいるから帰って来るようにってさ。航空券も送りつけてきて勝手なもんだよな」
それって… つまり…
「じゃあ、まだお医者さん辞めないよね?!
日本にもまた帰って来るよね?」
「うん、まだ貴から借りたゲームもクリアしてないし」
「何それ」
傷を抱えて一人悩む甲ちゃんも、的外れなことを言う甲ちゃんもどちら同じ甲ちゃんで
だけど、その大半が後者… かもしれない。
「俺がいなくても、少しの間待っててくれる?」
でも、笑っていてくれれば どちらでもいい。

