「…ヤバイ、イケメンすぎでしょ?」

「あたしも何かあったら先生指名しよ」

甲ちゃんが入れ替わりに出ていくと、途端にガールズトークがスタートする。

恐るべし、白衣マジック。

イケメンネタも彼女達にとっては鉄板中の鉄板だ。

「何で絹の周りはイケメンばっかなの?!」

それはママが電撃国際できちゃった婚した悠耶さんと友達だからであって、

その接点がなければ あたしもその他大勢の一人に過ぎなかった。

貴は昔から有名人だったし 噂で聞いて知っていたけれど、

あの頃の自分が今置かれている状況を知ったら間違いなく驚くだろうな。

「今の先生は…」

説明しようとしたタイミングでまた扉が開く。

「悪りぃ、先約?」

「あ、うん。まぁ、なんて言うか…」

彼の登場に、更に硬直する女子達。

「これ、織依さんからの救援物資。それと兄貴見てねー?」

すっかり慣れたと言わんばかりに貴が手際よく荷物を片付けていく。

「甲ちゃんなら ついさっきまでいたけど」

「すれ違いかよ… アメリカから来てたって渡しといて」