これが神様から課せられた試練だとしたら、あたしは今すぐにでも逃げ出してしまいたい…

あの日はマンデー(月曜日)ではなかったけれど、朝からブラックなシナリオはすでに幕を開けていた。

「どうしたの?もうすぐ退院なのに元気ないじゃない?」

ベッドサイドの荷物を少しずつまとめるママは娘の変化に気がつき、眉をしかめる。

夕べは結局寝付くまで隣には甲ちゃんがいてくれた。

これで何回目だろう。何回あたしの足かせを取っ払ってくれただろう。

いっぱい話もしたはずなのに、それでも満たされないのは独占欲が増したから?

ううん、“彼女”に心を奪われている彼をこっちに振り向かせることができなくて悔しくて歯がゆい。ただそれだけ。

もう会えない人との思い出は永遠にキレイなまま心に刻まれるけれど、

それに追い付こうとするあたしに待っているのは光が射し込まない未来だけだ。

近くにいるのに、心は何マイルも離れているみたい。

「失恋か…」

ふと思ったことを口にする、それが間違いだった。