「バーカ。勝手に思い込んでるだけじゃ失恋になんねーし」

あの時の手紙が昔の恋人からだったこと、そして彼女とはまた別に“大切な人”がいたことを掻い摘んで話す。

「あ~、それな。酔いつぶれた時にそんなこと言ってたっけ…」

「つぶれたって甲ちゃんが?信じられない」

「イライラしてたんだと」

疲れてつぶれることはあってもアルコールの力が必要なくらい追い込まれていたの?

劉慈さんのお店に行っても酔いつぶれるのは大概ママ達で、甲ちゃんは寧ろ世話役のはずなのに。

「特に“恒兄の娘”絡みの時なんて、荒波警報発動すんじゃねーのってくらいの大荒れな」

「あたしが? それ、何の話…?」

「俺から聞いたってことは言うなよ… 」