杏奈ちゃんの恋事情

side 優月




『眠い?』



慧「んー。眠い」



『いつもそんな顔してるからわかんない!』



慧「うっせー」



『あはは』


私と慧くんは手を繋ぎながら帰り道を歩く。
歩く歩幅は、私に合わせてくれて
時々ギュッと手の力を強めてくれる

…ほんとに好き。



ありがと…お姉ちゃん…
…みんな…




慧「あ、ねえ」


慧くんは私の方に振り返ってニコニコ笑顔…



『ん?』



慧「慧って呼んでよ」



『え?』



慧「あんま呼ぶやついないから、特別でしょ」


またしょうもない事を。


でも…



『……特別…ね…
いいよ。特別に呼んであげる』



慧「じゃ、早速」



『え』



慧「はやく」


慧…って、呼べってこと!?



『…け、けい…』



慧「ん、」


満足そうに前を向く

でも、私も‘’優月‘’って呼ばれるのすごい嬉しいな。



慧「今日は、泊まりだよな?
優月の部屋で寝るから」



『は?』



慧「優月のへーや」



『ばかじゃないの!?
慧なんか廊下で充分!』



慧「ひっでぇ
優月の香りに包まれて、優月を抱き枕にして寝たい!」



『変な事言わないでよ!
きもい!変態!』


私は手を離し、少し後ろに歩く



慧「え」


落ち込んだように、私の前を歩く慧


可愛い…




私は走って慧に飛びつく


そして手を繋いで



『帰ろっか』



慧「おう」


絶対…離さないからね?






side 優月 end