杏奈ちゃんの恋事情

side 慧



俺は、圭人と一緒に1つの公園に着いた



圭「がんばれ」


一言そう言うと、杏奈の手を引き公園を出ていった




『…優月』


ベンチに座っている優月の名前を呼ぶ。



優「…」


何も言わず、ただ下を向く優月


俺は隣に座って話す



『俺の話聞いて。
俺、彼女いないよ
なに言われたのかわかんないけど、嘘だから。』



優「…3年の先輩が…伊野尾くんと付き合ってるから近づかないでって
いい迷惑…だからって」



『…付き合ってない。
俺、付き合ったことないから。
それに、迷惑じゃない。』



優「……期待しちゃうんだよ…」


顔を上げた優月は、目に涙をためて俺の顔を見る



優「…好きだから…
期待しちゃうの。
優しくしないでよ…」



『なんで?
優しくしちゃいけないの?』



優「……」


無言で俺の顔を見る優月
ほんとに可愛いやつ。


俺は抱きしめて、優月の耳に顔を寄せる




『…俺も好き』


耳元でそう囁くと大粒の涙を流す優月



優「…ほんと?」



『ほんと』



優「慧くん大好き」


背中のシャツをギュッと握る
その強さから‘’好き‘’が伝わってくる



『…ふっ』


俺は頭を撫でる