杏奈ちゃんの恋事情





走り続けて1時間。
どんなに探しても優月は見つからない

家からだいぶ離れた公園。

そこのベンチに優月がいた。



私が抱きしめるとボロボロと涙を流す。



『……ばか優月』





長い間抱きしめていると、優月の力が弱まってきた


私は離すと



優「私、慧くんに嫌われちゃった」


辛いのに、それでも優月は笑顔を作って私に笑った


私は優月の、横に座って頭をポンポン叩く



優「慧くん、彼女いたんだって。」


震えた声で話し始める



優「3年の先輩に言われたの
「近づくな」って」



『…』



私は黙って話を聞く



優「どうして慧くん隠すのかな。
彼女いるなら言ってくれれば良かったのに」



『…伊野ちゃんから聞いた?
彼女いるって』


優月は黙って私の顔を見る



『伊野ちゃんから聞いたの?』



優「違うって言ってた」



『伊野ちゃんは違うって言ってたのに、なんで信じてあげられなかったの』


私はまっすぐ優月の目を見る



『本当はわかってたんでしょ?』


笑顔を作っていた優月の目から、涙がウルウルたまってきた



優「…私……慧くんに悪いことしちゃった…」


大粒の涙を流し、下を向く



『…ちゃんと、伊野ちゃんから本当の事聞こ?』



優「うん。」






圭「杏奈」


…え?



『なんで…圭人?』


圭人は私の手をとり、公園を出る



『…どうして』



圭「大ちゃんから聞いた
あとは伊野ちゃんに…
だから一緒に帰ろう」


圭人は手を繋いでいる逆の手で私の頭をなでた



『…うん。』