人を初めて好きになって
本気で好きだった彼…
こんなに辛いんだね
?「あれ、優月」
どうして今会うの?
大好きな人の声…
振り向かなくても、顔を確認しなくてもわかる。
私は振り向かず、歩く
慧「ちょっと、待て」
腕を掴まれ、慧くんの方に体を向かされる
慧「なんで、泣いてんの」
…え?
私は自分の頬を触る
手には涙がついていた
慧「なんかあった?」
『なんでも』
私は顔をそらし、涙を拭き続ける
慧「嘘つくな。
どっかぶつけた?」
優しく問いかけてくれる彼の声…
心配そうな顔をしているんだろうな
見なくてもわかる
そんなことを思っていると、どんどん溢れ出す涙…
『ほっといて…』
私は手を振り払って走る
慧「ちょっ」
でも、慧くんの腕が長くてすぐに捕まってしまう
『離して!
そんな優しくしないでよ!
彼女いるんでしょ!?』
慧「彼女?
いない」
『うそ!
さっき会ったんだから』
やっと止まった涙。
私はまた泣きそうなのを我慢して慧くんを睨む
慧「何言われたかわかんないけど、俺彼女いねぇよ」
『どうして…私に言ってくれなかったの』
またボロボロと出てくる涙
慧「違うって!」
『正直に言いなさいよ
彼女いるんでしょ?』
慧「俺の話も聞け!」
慧くんは私の腕をもつ
私は顔を上げて慧くんの顔を見た
どうしてそんな悲しそうな顔してるの
『…どうして?
なんでよ…彼女いるなら優しくしないでよ』
口が勝手に動く
『…好きなのに…』
口に出した言葉を戻せないことに気づいて、私は走り出していた

