杏奈ちゃんの恋事情






ガチャ



『ただいまー』


学校から帰ってくると、大貴と侑李のローファーと、2つのローファーが。



私は制服のままリビングに向かう


ガチャ



『ただいま』



侑「お姉ちゃん。
おかえり」


ソファーで寝転がっている侑李の隣には、山田が…



大「あ、おかえり!」



TVを見ながら寝転がっている大貴の隣には一緒になってTVを見ている伊野ちゃんが。



『な、な。』


言葉が出ずに、その場で立っていると



涼「おじゃましてまーす」


…どうして、どうして…



『伊野ちゃんがここに…?』


優月と帰るんじゃないの?
玄関には優月のローファーは無かった



『…優月は?』


“優月”といつワードを口にした私を大貴がチラッと見て、バツの悪そうな顔をする



大「…ちょっとお姉ちゃん」



そう言って大貴は私の腕を引っ張り2階に行く




ガチャ

パタン


大貴と侑李の部屋に連れて行かれて、ベッドに座らされる



『どうしたの?
何があったの?』



大「俺と侑李と山田、今日一緒に帰るって約束してて、俺1人で2人を下駄箱で待ってたらさ、喧嘩っぽい言い合いが聞こえたんだよ」



『言い合い。?』



大「うん、男女の。
興味本位で覗いたら、姉ちゃんと伊野ちゃんで」


…え



大「姉ちゃんが伊野ちゃんに泣きながらなにか訴えてんだよ
そんで、伊野ちゃんは伊野ちゃんで誤解を解こうとしてたみたいで、「ちがう」って何度も言ってて」


どうして伊野ちゃんと優月が喧嘩?



大「最終的には姉ちゃん、ボソッって何か言ってどっか走って行っちゃって」



『伊野ちゃん追いかけなかったの?』



大「…うん
俺が伊野ちゃんに声掛けたら、めっちゃ泣きそうな顔してて。」



『伊野ちゃんから話は聞いたの?』



大「聞いた。」



『なんて?』


少し黙って下を向く
でもすぐに私の顔を見て


大「なにか吹き込まれたらしいんだよ。」



『…伊野ちゃんのファンに…か』

すぐに察した…

優月の性格上、変に鈍感だから、変に解釈しちゃったんだ



大「うん。」



また大貴は黙る