母と父、私と弟。
その過ごした時間は本当に短かった。
弟は当時、2歳ぐらいでまだ物心つく前だったかもしれない。
私は、もう状況は読めていた。
子どもだったとしてもわかっていた。
母の表情も父の表情も見ていれば、もう仕方ない。
これ以上、2人がこのままいれば哀しみを生んでしまうだけだ。
幸せな表情をする二人を思い描けないし、そんな日はあったのかさえわからない。
だから私の答えが必要だった。
「ユキちゃん、これからねママとユキちゃん、リクちゃんで
おばあちゃんのお家に暮らそうかなって思ってるんだ」
「うん」
「でね……パパとはもう…」
「…………うん、いいよ」
私は、どうすることも出来ない。
二人を繋げ戻すことも、家族を守ることも。
切なかった。どうしようもなく切なかった。
けれど押し殺して、母の前では笑っていようと心に決めた。

そして、最後の日。
父と離れる事に私は泣いたのかそうでないのかは覚えていないけれど
私のこの選択はこれでよかったのだろうか。
そればかり考えていたんだ。