すると今度はおとなしくそれを認めた。
「じゃあ、僕はちぃちゃんについてくね!」
なにをどう考えるとそのような結果に落ち着くのだ。
ウサギがいたところで、邪魔にしかならないと言うのに。
とは言わない。
これ以上素直に言うと面倒ごとが増えるだけだ。
それだけは避けたい。
「勝手にしろ」
言い方は冷たかっただろうが、今のウサギならこれでも喜ぶ。
「うんっ!」
ほらな。
さてと。
あたしも正広たちに今夜の作戦を聞いておかなければ。
勝手に行動はできないし、今回は予測不可能だからな。
時刻午後9時50分。
乱魔が現れるまで残り10分。
あれから柏木冬馬のもとを訪ね、事情を説明した。
もちろん、正広が。
そして、警備をすることになったのはいいのだが、普通の民家に警察の人間が何人も入れるわけがなく。
「知由と雪兎。中はお前らに任せた」
現場に到着すると、正広にそう言われた。
なぜあたしとウサギなのだ。
新人刑事のほうが役に立つに決まっているに違いないのに。
「任せて」
あたしが断るよりも先に、ウサギが了承した。
こうなれば、やる以外に選択肢はない。
あたしはウサギと家の中に入る。
家、というよりマンションのほうが正しい。