『死ぬ覚悟はできたか?』


薄暗い意識の中で誰かの声がする。


『そろそろ「死んでもいい理由」が沢山見つかった頃だろう?』


聞き覚えのあるようでない声が問いかける。


『この世に未練の欠片も無いように生きろよ。いずれお前は死ぬんだから』


クククッ…と低い笑い声が響く。
不気味な笑い声と共に、恐怖と涙が溢れ返った。


(イヤよ!私は死にたくなんてない!まだ誰にも愛されたことないし、人を愛したことだってないのに死ねない!……死なずに生きたい!生きて幸せになりたい!お願い!誰か助けて!!)



「助けてっ!」


目を見開いて起き上がった。

汗がいっぺんに吹き出し、髪の毛がペッタリとくっ付いてしまう。
ハァハァ…と呼吸が乱れ、額から冷や汗が流れ落ちた。



「大丈夫か?」


ギクッとして振り向いた。
目の前にさっきまで話をしてた人がいる。


「いきなり倒れるから驚いたぞ」


ポケットから取り出したハンドタオルで額の汗を拭ってくれようとする。


「青空先輩……」


何故。

と言うか、どうしていつもこの人が側にいる?

救世主は他の人の筈なのに、何故いつも一緒なの?


「どうした?ハトみたいに目が丸いぞ」


優しい顔をして笑う。

そんな顔見せないで欲しい。

願ってはいけないことを願いたくなる。


「若山?」


どうしていつもみたいに呼ばないの。